何をしようとしていたか、もしくは、何もしようとしていなかったのか。吸っている煙草の煙が、こちらへやってきて、とぐろを巻く。火を消そうにもしつこく煙をあげておれにまとわりつく。ベランダから風が吹いているのか、と考えてみるも、風の気配すらなく、外の恩恵に預かれないから部屋がやたらに暑い。仕方なくエアコンをつけるも騒がしくてやるせない。しかし、それ以外にやりようがないので仕方ない。

頭は煙草で眩んでいる。壁はヤニで黄ばんでいる。退居するときにどれくらいの費用がかかるのだろうかと考える。

本が未だ読めない。本くらいしか退屈には向き合えないだろう。ネットの徘徊やらテレビやらそんなもので退屈を潰せる人間がこの世にいることが不思議で仕方ない。

自己啓発本、ビジネス本、表紙でさえもまともに作れない奴らの作る本なんか誰が読むのだ。と言っても、漫画の次に出版業を支えているのはつまらない本たちである。

つまらない人たちがつまらない本を読んでつまらないことを思いつき、つまらないことをし、つまらないことが流行り、同じ軌道を回り続ける。

本は大衆を前に無力だろう。本は決して大衆には語りかけない。本は大衆からはみ出た、普通のことが普通にできない人間に囁きかける。ぼくは耳を塞いでいる。