師走の詩

ある世界の情景

今夜、毛皮を纏えぬ者が

毛皮を纏い

歌えぬ声で 聖歌を歌う

最も愚かな 者が 愚かな唄を

夕べ、今朝もがれた腕が

独り泣き始める

身体の垢を詰めながら

蕾をひらく そんな夕べ

侍る 苔を擦り落とす

ヤカラの唄が 海へ ながれる

黄昏 プールの冷たさ 凍て

水面に 串ざす カラスの嘴

鳩 来たる 公園へ 獣を放つ