匂い


香ばしい あまりに 手にしたコロンは

手に余る ものでした

香りが 心に染みつくのでした

はなをさすたび 蜂のごとく

思い出すのでした

香りが、香りが、香りが

まとまりをもたらすのでした

ある瞬間を束で届けるのでした

不意打ち されたように

竦むわたしがいるのでした

あるときはクレイの匂いでした

あるときはダウニーの匂いでした

あるときはアベリアの匂いでした

なにを思い出しているのか

わからないのでした

ただ涙がながれるのでした

わからないのにわかるのでした

わたしは わたしは わたしは

ただ涙をながすのでした

ふと、ふと、ふと

ふとした拍子に

不意打ちを食らうのでした

そして、わたしは竦むのでした