ゆらぎ

誰も聴こえないのをいいことに 雨脚がのっけから音を奪うんだ

-音を叩きつける!-

雨は鼓笛隊 幽霊も歌いだす でもだれも気づきやしない 気づかないことをいいことに 奴らも歌ってる 雨は解放する 生も死も劇物 雨のなかで天使と出会う 雨のなかで祝福される 音からの解放 世界が揺れている 境がゆらぐ 音が消える 独りを与える まつ毛に雫 目がゆらぐ ゆらぎが 見つめている 世界はゆらいでいる 雨に濡れた猫がほしいの 彼女はゆらぎの住人だった 濡れてる人だった 天使の声が聴こえていた 雨に濡れている あの世にいるみたいだ 生きてる 不思議なことだ 唾のまじった雨を吐く ガバガバ雨が湧いてくる 雨を吐く ハリネズミみたいに濡れてる 髪を掻き分ける 雨が逆さに降る 不思議なことだ 生きている 天使の声が聞こえる おれは再び歌いはじめる