この肌色は 未だ擬態を知らない

未だという未来が曖昧模糊ともこもことあの雲のようにと揶揄されようが

未だの安心が空の証左

ほら 未だだ

その時は未だだ

未だ知らない

未だだれも知らない

おれが見えないのではないか

という疑を伏するきみの手

まだ見えぬ顔について

まだ続くであろう、この肌について

肌は未だ知らない

この町の過ごし方を未だ知らない

恥ずかしものだ

死にたいものだ

髭を生やしたいものだ

町は薔薇色の日々を歌い

おれは逸れる そらから千切れる

大地と祈り

飛び立つ ワンコ 小便の放物線を超える

世界 壁柄の洋服をおれにくれないか

一張羅でなくともいいさ

世界 おれは町のカモフラージュを装う

世界 目から逃れたい

世界 おれは目が怖い

視線の檻が交錯する 町に

ああ、もっとも冷徹なる動物たちの目は忘れて

ああ、もっとも賢き動物たちの目は忘れて

愚かな人間どもの目社会から逃れるシェルターはいらない

見ていまいなかろうが歩きたい おれは忍び脚ではなく 歩きたい町を 道を 社会を

普通でない顔をしながら普通に

時よ、瞳よ おしゃべりをやめよ

口よりも雄弁に語る目よ 閉じよ

何も見なくてもよい 目がうるさい

目の喧騒から逃れた昼下がり

安らぐように歩くきみと手を繋いで

馬鹿みたいな夢だ スウィートな夢だ

そのために博打 町柄の服をおれにくれ