土曜日の夜に死ぬ

土曜日はみんな浮かれている。楽しそうだ。電車も飛びっきりに混んでいる。酒飲んだおっさんやら学生の明るい声が聞こえる。なぜ人間はこうも社会的になれるのだろうか。群れをなす動物はたくさんいるが、人間ほど群れようとする生き物はいないだろう。蟻でさえたまに一匹でうろちょろしてる奴もいる。人間は人間の周りしかちょこまかしない。

賑やかな御堂筋線が不意に止まった。電車はなんばの駅についたところだった。車掌は西中島南方で人身事故あったと告げた。誰も動かずにいた。御堂筋線に乗らないとみんな帰れないのかもしれない。

ゲームを一通り終わらせてから席を立った。さっきよりも人口密度が高い。明日は日曜日だぜ、社会人どもよ。そこまでして帰らないといけない理由があるのか。

まあそれはいいとして、人身事故が多すぎる。その全てが自殺ではないかもしれないが、少なくはないはず。最期の場所に駅を選ぶなんて、ちょっとやそっとの恨みじゃない。なぜおまえらは平気な顔でいられるのか、迷惑やねんとかラッキーとか、そんな感想を言えるくらい余裕なのか。お前らが毎日乗ってる電車を死に場所に選んだ人間がいる、その事実についてどう考えてるの。彼らを殺した社会の円滑油になっといて、平気な顔して愚痴こぼせるのってなんでや。お前らの大好きな連帯責任じゃない?