泣き虫エリオット

リヴァプールのエリオットが私の部屋の片隅で震えている。私は訳を訊く。たぶん、英語を話していたと記憶している。エリオットが家へ来る前、地元の知人たちからメッセージを受けた。「エリオット指名手配かけてるから、アイツから連絡あったら教えて」との…

しみったれた部屋

最後の最後までしみったれた部屋だった。この部屋へ帰りたくなさすぎて、大阪にいながらホテルへ泊まったこともある。部屋が狭いので横になること以外とれる姿勢がない。タバコを吸うスペースは風呂場くらいのものだが、それでも風呂場で吸うのは寒いし、座…

無心で食らうひとたち

無心で牛丼をかっ食らう姿が目につく、住宅街の吉野家。この辺は単身赴任者ではなくファミリー層が多いから、おそらく「ほな、外で飯食うて帰るわ」とサラリーマンたちが仕事の終わり、腹を満たすためだけに立ち寄っている。身内がいようが挨拶を交わさない…

鳴き声

何かしらが鳴いている声が聞こえて用水路へ屈みこんだ。ライトでぐるっと照らすも、何もいない。風も吹いていないのに草がそよいでいるだけだった。用水路を満たすほど、さきほどの雨は降らなかったらしい。急に雷を伴って雨粒が天井を叩いたのは19時ごろだ…

学ぶな

女がひとりで転んでひとりで笑って立ち上がる。その様を見て、この女は誰に向かって笑っているのかと不思議に思う。自省的に笑っているのである、誰を欺いているわけでもない。恥ずかしいということだ。恥ずかしさを笑みで誤魔化す醜さが女の顔に張りついて…

日本現代クソ噺

アニメを観続けているとアニメ以外観たくないが、少し我慢してドキュメンタリーを観ればドキュメンタリー以外観たくなくなる。またアニメに関しても同じような毛色を望み、ドキュメンタリーにしろ同じような系統が観たい。これは多分、自分特有のものではな…

紫陽花のたばこ

怒りへの賛同 -便乗して怒ることへの疾しさのない、まるでそれが自己発生した雷のごとく鳴り響かせる者もある。私の怒りは私のものであり、あなたの怒りはあなたのものだ。重なっても風雨すら立たない- 森道から戻って数日経ち、身体もようやっと平衡を取り…

踊る暇があったら発明してる奴の言うことは信じない

これもどうせ退屈凌ぎだろう。人間は退屈凌ぎに悩むのだ。実際、悩むことなど人生にざっと数度しかないだろう。ほとんどが退屈凌ぎだ、おれの場合は。また今日もトムヨークより憂鬱な気分でカードコバーンみたいな内向性を持ってペニスをしごきあげるのだろ…

踊る暇があったら発明してる奴の言うことは信じない

これもどうせ退屈凌ぎだろう。人間は退屈凌ぎに悩むのだ。実際、悩むことなど人生にざっと数度しかないだろう。ほとんどが退屈凌ぎだ、おれの場合は。また今日もトムヨークより憂鬱な気分でカードコバーンみたいな内向性を持ってペニスをしごきあげるのだろ…

片割れは

あたしは巫女だから、ほらと女は言って多色なワンピースを己で指差し、何者でもない虹色を着てるンだと言いつかさる。そのダサい、ワンピースを見ながらへえと呟き、間髪入れずになるほどと応えた。女にはオーラが見えるらしい。握手を交わせば、身体に宿る…

本を読んでいてもやはり間に何かをしている。もっぱら集中しているとき、電車の中では特段すんなりとりして落ち着いてはいるが、やはり家にいるときはスルメを摘んだり、身体を掻いたり、タバコを吸ったり、気になるモノが頭に浮かんで調べていたり、風呂に…

現在

自分が世界をどう見ていたか、という言葉は正確さを欠く。自分が世界をどう感じていたか、それが今、なんとなく思い出されてきた。私は怒りで目が眩み、身体が凝っていた。思えば歩くことが苦痛以外のなにものでもなくなっていたから、散歩することさえやめ…

青森巡礼

人の寿命が七万歳のときに初代仏陀は生まれたらしい。棟方志功の版画を見ていた。それよりも壁4面に展示されていた4枚の絵画、シャガール。内、1枚がとても気に入って眺めいった。絵は背丈の高いイネ科の植物が金色に輝く畑、魚が頭を覗かせてその隣にカマ。…

People keep on learnig

なろう系のアニメが酷すぎてこんな浅薄な原作でアニメ化できるのかとびっくりしたまま数年続いている。アニメってそれなりに予算高いわけやしさ、こうもポンポン量産型作りまくってミスりまくれるのであれば冒険してほしいですね。まあ安いんやろ、数打って…

生まれた時は四つ足(四つ足?人間じゃない)死ぬ時は三つ足の生き物って何だ?(三つ足?三つ足って言葉あんのか)犬やろ?違うで。怪我した犬やろって。違うって(半笑いを浮かべる)。怪我して片足なくなった犬やろって。違うって。違うって言い切れんのか?で…

パンジーシンドローム

ちょっと服わかってきて一ヶ月くらい経つ。めちゃくちゃ楽しい。みんな病気に見える。お前がやろとツッコみたいところでしょうけど。病気なんですよ。病名もちゃんとある、俺がつけた。『パンジーシンドローム』この症候群はとても厄介で『アンチパンジーシ…

私は私に後悔させることを許さない

どれだけ愛情を注いでもヌメモンにしか進化しなかった。ヌメモンは道端に落ちてるクソを食うタイプのデジモンで爆裂に弱く、容姿も緑のナメクジで攻撃技も臭い息をかけたり、屁をかけたりする技が多かった。またトレーニングを行なっても、他のデジモンより…

結局忘れる

読んで感動して忘れる。観て感動して忘れる。内容など記憶に残らず、ただ衝撃と感情だけを憶えている。 グレッグイーガンの短編集『祈りの海』を読んだ。一つへ収斂させるシンボル、アイコンを完全に否定していた。起源の否定、宗教、信仰の否定、人に後ろ盾…

作らないことを始める

スタイリングを作っていた。今後は作らないことを作る。能動的なスタイリングを止めてみる。逆ハリもなにもかもが無意味だ。おしゃれとか、そういう身内ごとに関わってられるか。どうでもいい、あえてなんてものを俺は今後やらない。全てニュートラルからの…

あたらしい人間

私たちはどういった存在か、というよりも、私たちは私たちの今を越えうる者-あたらしい人間-を求め続けてきたのではないか。何も超越の話がしたいわけではない。私たちは鏡を見ようと本を覗くわけでも、映画を観るわけでもない。私たちは人間ではない人間を…

我々は臭い

30日前よりもより悪くなっている。100日前よりもより悪く、150日前よりもより悪い。だんだん悪くなっている。より悪い方へ、明日が風下のように感じられる。私たちは風と共に移動しながら悪臭を漂わせる。私たちはより悪い方へ走っていく。日に日に臭くなっ…

一人称は俺か私や

ぶりっ子すんな、僕って言うな。僕って言うのは70超えてからにしろ。僕とぼくはまだ許せるけど、ボクは許されへん。なにカタカナ使っとんねん。ボクとか使うくらいやったら、ぉれにするわ。いや、ゥチにしようかこのうんちくんどもめ。一人称は俺、もしくは…

春とでかい子どもたち

春やな、そう感じたのは店内から差し込む日光が暖かったからだった。出社するまでは寒かった。夜もまた寒くなるだろう。一番良い時間帯をこのような箱の中に軟禁されて過ごさないといけない。出勤は9時、退勤は20時半、ペットボトルの底に薄ら残ったスポーツ…

ワンハンドレッドヒュージティッツドラゴン

恐らく、四国の太平洋側に来ている。香川らしかった。私はバスを駆使して南下している。気になる場所があれば降りて歩いてまたバスに乗る。日帰りである。折り返し地点へ行き散歩していると、気になる物件があったのでICOCAで買った。五万だった。物件を買わ…

ナチュラルボーンボマー

インスタから人がいなくなって8億年は経っているはず。たしかに俺はそう思う。2億年まではまだ人間がいた。今はもうAIしかいない。いや、まだ、一部でテロリストどもが潜伏し、無益な闘いを送っているに違いない。こと、私に関しても日々ボミングを行い、一…

このボケ

どこまで現実を無視するか。昔のアニメを観ていると平気で矛盾する。この有り得なさをとってつけたようなもので補填したり、説明しないと気が済まないような作品が今の時代を埋め尽くしている。蛇足だ。寝て見る夢の世界は矛盾しかない、でも目覚めれば相応…

予定を崩すわけにいかない

人生で初めて口座が底を尽き、むしろ穴スキルを発揮した。厳密に言えば、底を尽きて穴になる予定である。クレジットカードの魔力を使いすぎ、身の丈を超えてしまった。何とかできる金額ではあるが、色々と削らないといけないのは明らか。私は基本的に節約が…

コナミエフェクト

ウイイレを始めて4日でやめた。前はやめるのに3週間かかった。目覚ましい進歩、日進月歩の果てからこんにちはさしてもらってる。最終日はあまりにも立て続けに敗北し、得点も出来なかった。やるせない気持ち、こんな雑魚に負けてしまったことが納得できず、…

猫の名前は複数形

カイくんの家には三匹猫がいる。名前を聞くと呼び方が家族によって異なるから幾つかあるらしい。ややこしいこと極まりないが、各々好きな名前で呼んでいるらしい。そう言えば、飼ってた犬にそれっぽい名前を読んで反応するかしないかっていう遊びを暇な時に…

マイ・セラピー

自虐もギャグもガチも飽きた。よくよく考えればファッションというもの、殆どの人間がやっていない格闘家、競技かどうかも定かでない、もはや概念があるのかどうかえ分からないものに熱をあげている様を素面になって考えると恥ずかしくなってくる。私はもと…