スーパーバレンタイン

キキちゃんにバレンタインをもらったが嬉しくなかった。そのことをそのまま伝えた。ソーシャル的な反対給付義務を負わされるのが嫌いだ。プレゼントをもらって嬉しいと思うことはほとんどない。なぜか、それがプレゼントだからである。それにも増してバレンタインときた。贈与であるバレンタインはホワイトデイ、つまり反対給付によって完成される。二つは対だ。私は義務に弱い。私の根は良い子ちゃんだ。悪党ではないし、真面目だ。喜べない自分が嫌になり、お返しできない自分が嫌になる。ボディを打たれた後にテンプルを殴られているようなもんだ。それに加えて未来が制限されるのを想像するのが嫌だ。休日にやる習慣も何もないし、一日を寝て過ごすこともある予定のない暇な人間だが、お返しのためにプレゼントを買いに行かないといけないと思うと一気に疲れる。

だからといって、もらうことやあげることが嫌いな訳じゃない。買い物へ一緒に行って買ってあげるとか、買ってもらうとか、着てる服をもらうとか、あげるとか、そうゆうのはとても好きだ。だって嬉しいの確定してるじゃん。「それカッコいいですね!」「あげよか」「え!まじっすか!」みたいなすげえ嬉しそうな顔を見るのも、もらって自分が嬉しくなるのも好きだ。そこには偽りがない。鮮度を共有してるからかな〜。瞬間的なムーブメントが好きだな。例えば、女の子がおれがつけてたネックレスを勝手につけるとかさ、あげるよー!ってなる感じ。

で、私は色々とキキちゃんに何をあげようかと考えている。ハートのネックレスでもあげようかなと思っている。たぶん、笑ってくれるに違いないだろう。キキちゃんが給料日に高めのお肉をデパートで買ってきて料理してくれるのが好きだ。なんでもないことだと彼女は言うだろうが、そんなこと出来る素敵な人は君しかいないよ。