膣る

膣る

ぼくらは膣のうえに生きる

膣のうえ、あたたかい子宮へ至るまで

膣のうえで。

膣のうえで殺し合い、慰め合い

子宮へ至るまでの道のり

生まれてこなければよかった

そうか、そうなるか、わたしもそう思う

子宮から生み落とされた我々か

歌おう膣のうた、子宮でなく、膣について

膣のうえで殺し合おう

憧れの子宮を忘れて

膣について、

荒涼とした膣について

霜咲く膣について

膣歩き、虫殺し、草食み、パンツ喰らい、膣かぶり

それくらい

膣としての我々と

膣に立つ我々の

嗚呼、膣なる啼き声

膣を打ち、膣を噛み、膣ろう

歌おう 膣のうた

膣bornぼくらが膣るなら〜

膣りたまえ

笑える胎がえりみたいな儀式

子宮が言う

おかえりチンポ

ぼくらは膣のうえに生きる

チンポ濡らし 枕濡らし

顔射するのは人間だけらしい

おまわりのチンポへし折り

膣へ沈める まるで茎のように

さあ殺し合おう

子宮から戴いた片道切符

さあ、膣のうえで

蒼い世界

蒼い世界

夜を凌いだ 河川敷 毛糸の靴下 はぐっしょりぬれた 足の汗 月がきえかける 半顔を浮かべて 薄らぐ笑う霊と化した月 生きれた 眠りから覚めた 世界は蒼かった

蒼い世界

蒼い世界

蒼い世界

死んだ木 死んだ草 生きる木 生きる草 のうえに 霜の華 美しさのあまりに 身体がないた 夜と朝にぶら下がっていたのは おれだけではないか人間は みんな死んでいたのではないか おれだけが 息を吐いて 吸って おれだけが霜のうえをあくがった みんな死んでいた みんないなかった

蒼い世界

蒼い世界

蒼い世界

おれだけが 瞬間の王たる おれだけが 河川敷のうえで 恨めしい月にさようならを告げ おれだけが 緋を 待っていたのでないか おれだけが望んでいたのではないか 夜の完全なる終わりを おれは川の向こうをながめた 来るか来るかと祈った どうせ来る緋を 待った 一秒でもはやく 来るように 来たるものを祈った 待った 緋がきた そらがゆるし色に覆われた おれの身体は泣いた 日の光があたたかくて それが知らない人の顔を 照らしているのだと カーテンの隙間から忍んで 照らしているのだと思うと泪がでた 王は霜とともにきえる

売春帝国

今日も元気に売春だ

楽しい楽しい売春だ

楽しいから忘れちまうんだ

エリートもプアも売春者

売春者のカースト制度

-売春者のくせに 一丁前に-

嘘つきだらけ まだらめ模様のホアだらけ

この世界は大売春帝国

売ったら買うんだ 売ったら買うんだ

ばかみたいに売ったら買うんだ

この世界の人間は

2日に一回の歯軋りと2日に一回、その口で笑う。笑った口で歯軋りして、歯軋りした口で笑うのだ。

どうしようもない どうしようもないホアたちの群れにいる

シオランも売春者の一味だ

おおお、大杉栄ェェエエイイイ

楽しい売春が売春を忘れさせるんだ

つまらん売春が人間を狂わせるんだ

おおおお、大杉栄エェエエエエイイイ

売春者が貴族面して笑ってらあ

買いますか春を 買ってくださいよ春を

売ってください春を 売ってください春を

ださい春だ おれの春だ おれのおれのまぎれもない、このおれの春を 買うか 900円だ お前らに春がみえるか 冬が口をパクパクさせて待ってるぞ 社会のガーゼがなくなったら 枯れ枝のような身体にゃ応えるぜ 詩を一行やるから身体を包みな 死んじまえ

60秒の慰め

60秒の慰め

たとえば目覚まし時計が

ちょっと気を使って 予定より少し早くだったり 少し遅くだったりアラームを鳴らしてくれれば 世界は衣摺れを起こし 少しずつ崩壊するだろう

時計にチーズを流し込んだダリの願いは時計を狂わせることだった 寸分違いなく時を刻む機械式時計をキチガイにすることだった

ダリの流したチーズは無駄じゃなかった ある者にはしっかりと届いた ある者には届かなかった 間欠的に遺伝したダリのチーズは時計をキチガイにする

だが、ぼくたちの音楽よ

そして、ぼくたちよ

なんの慰めになる

歌を聴いてなみだする

なんの慰めになる

ぼくらは捕らえられた魚のように

定置網のなかをぐるぐると回らされている

自由なる囚人を労働へ向かわせる

社会に血を与えるこの循環装置が何の慰めになる

疲れた人間を昨日のような明日へ送りかえす歌が何の慰めになる

歌も休日も何の慰めになる

キチンと時計は時を刻む

1分と1分の間に挟まれ 音楽を聴く

何の慰めになる自由なる囚人の牢屋たる社会の一味たる音楽がなんの慰めになる

夜 空が怒りに満ちる 空に怒りが走る 時計は望まれた労働者のごとく正確に働く。なあ、カフカ。時を正確に刻むのがおれの仕事だ。だから時計は時を正確に刻むのだ

1分と1分の間に挟まれた喜怒哀楽

この詩がなんの慰めになる

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

秒針と短針のあいだで生まれた

60秒後には切り刻まれた

勝手にしやがれ 60秒後に休憩は終わるんだ 60秒後に生は終わるんだ 60秒後には クソ音楽め 音楽にチーズを流し込んでやる ダリみたいに狂っちまえ

慰めがこの世界のポンプであるならば

音楽よ 軽やかに消えよ 人間共に地獄へ落ちよ もしも慰めが 未だ可能であるなら あの子をそっと包んでやってくれ 音楽よ 速やかに あの子を包んで土に還してやってくれ

 

闘志

意志はいらない闘志

おれは闘志

闘志そのもの

闘いたい 闘わせてくれ俺の病んだ精神

、の上で小休止してる場合じゃないんだ

おれは闘志

闘志そのもの

闘志 五厘刈りの野球部が放ったピッチャーフライに宿る日差し

ファイヤー急にメラつく

メラメラだぜ そうだぜ

キラウェアだって噴火寸前

おれはキラウェアよりも煮えたぎった泉 血の泉 脈絡なく吹く間欠泉

パオ パオ パオ パパパパパオオオオアオン

いえーい いえーい

アルフォンス仕立てのクソ煮込み

チーフだ チームリーダーのチーフだ

ダッカルビが食いたい スンドゥブは故郷の味 足がキムチの味がするんだ

キムチ味の胡麻和えだ

まだ子宮だ 問題ない あたたかい太陽の下で踊るようなもんだ タンゴだホドロフスキーとデュエットだ

バカマジメに袴を着たしオーセンティックも履いたし クソ煮込み運動だよ 世界はバーサスしてるんだ 香るんだね お香だよ 毛利小五郎だよ 爆発よりも収斂していく宇宙の瞳から発芽するパウレタの拳を磨いて磨いておじいちゃんに会いにいくのだ。姓は新原 名は生磨だ 大好きだ クラシックが好きで聖歌隊みたいに夜な夜な歌う 囲碁名人 大好きだ 死んだけど 逢いにいくのだ

いえーい いえーい

爪さん

ストゥレスか不規則が祟って頭が禿げた 根こそぎ爪が髪をもってった

ストゥレスだ 不規則だ

頭が禿げた

爪だ 武器だ 動物にとっての

動物にとって闘うためにある、、

凶器だ

狂気だ

狂気が凶器を狂わせたに違いあるまい

爪で考えることをわすれた

垢ばっかり見つめる生が

爪は闘うことを忘れない

現代人に爪はいらない

尾骶骨あつかい

ストゥレスだ

毛皮のない哺乳類に爪は飽き飽きしている

ハゲがなんだ 毛皮がなんだ

あまりに恥ずかしいことだ

こんな皮膚丸出しにして

爪なんて見に余る光栄じゃないか!

さあ爪さん 引き裂いてやりましょう !

世界を

ところで 爪さん!爪さんてπに似てません?笑

この肌色は 未だ擬態を知らない

未だという未来が曖昧模糊ともこもことあの雲のようにと揶揄されようが

未だの安心が空の証左

ほら 未だだ

その時は未だだ

未だ知らない

未だだれも知らない

おれが見えないのではないか

という疑を伏するきみの手

まだ見えぬ顔について

まだ続くであろう、この肌について

肌は未だ知らない

この町の過ごし方を未だ知らない

恥ずかしものだ

死にたいものだ

髭を生やしたいものだ

町は薔薇色の日々を歌い

おれは逸れる そらから千切れる

大地と祈り

飛び立つ ワンコ 小便の放物線を超える

世界 壁柄の洋服をおれにくれないか

一張羅でなくともいいさ

世界 おれは町のカモフラージュを装う

世界 目から逃れたい

世界 おれは目が怖い

視線の檻が交錯する 町に

ああ、もっとも冷徹なる動物たちの目は忘れて

ああ、もっとも賢き動物たちの目は忘れて

愚かな人間どもの目社会から逃れるシェルターはいらない

見ていまいなかろうが歩きたい おれは忍び脚ではなく 歩きたい町を 道を 社会を

普通でない顔をしながら普通に

時よ、瞳よ おしゃべりをやめよ

口よりも雄弁に語る目よ 閉じよ

何も見なくてもよい 目がうるさい

目の喧騒から逃れた昼下がり

安らぐように歩くきみと手を繋いで

馬鹿みたいな夢だ スウィートな夢だ

そのために博打 町柄の服をおれにくれ