Entries from 2020-08-01 to 1 month

狂った体液

稼いだ金を服に注ぎ込むことで呼吸をし、でもその呼吸は喘ぐように浅い気体の交換。身体の毒素は少しずつ、溜まっていき鬱血する。力は緩まない、力む赤い顔で。ぶくぶくと肥える欲望はただ末広がりに、私を手招きし、満足の代わりにお手軽な快楽を掌に置く…

第五回棚田全段万里の長城流しそうめん

ヒマラヤほどの棚田に、ミサイルほどの竹を組んだのだから見渡せる訳がない。例年に漏れず、そうめん台はエロティックだった。畦なのか畑なのか判然としない茫々と茂る緑から節取りされた竹の断片が現れたかと思えば、蛇行してまた茂みに消える。穂波ちゃん…

声をあげる

声を上げる、声 声を散らす、声 叫びと共に生まれた 矛盾の織物に生み落とされ 優しや怒りや悲しみに包まれて 汚れた世界を繋いだ、そして声がまた生まれた 私が泣くのは矛盾に胸が詰まるからだ 私が怒るのは矛盾で胸が痛むからだ 私が笑うのは矛盾を忘れる…

回想

身体のベタつきを感じた。汗が乾いた後の少し不快さ。施術中、何度か落ちた。マッサージ師の友人がバスタオルをかけ直すたんびに、汗の乾いた痕、つまるところ私の肌、身体の輪郭を感じつつ、また眠りに落ちる。朦朧としながら人生が一周回ったような気がし…