Entries from 2018-07-01 to 1 month

形と静止

形と静止 風が灰を攫うまでわたしはここにいる 風が灰を攫うまで煙草を咥えよう ここにいる 凪が吹く 煙をさらう 口から 遠のかせる 煙 それについて語ろうとする 口は なにかを話はじめる 日常に潜む崩壊の足音を カートコバーンの指は弾く カートコバーン…

パールハーバー

‪未だ発酵していないか、噛み疲れたかしてそれは未だ‬ まるで昨日のことのように鮮度があるから新鮮味に欠けるのだ。 ‪未だ出会わなくとも良い 未だ可能性がある まだ速い あるいは遅すぎる合流 再会が早すぎた あるいは早く別れすぎたか いずれにせよ それ…

ベケットと作品

ベケットは自分の作品に忠実な作家だったと聞く。彼の作品が無許可で上演されるようなことがあれば裁判も辞さなかったようだ。著作権だとかオリジナリティの権限とか、そういった類でベケットの作品に対する忠実さを表現するのは無理がある。ベケットには責…

種をまく人

種は実らないかもしれない 実らないこともあるのだ 実って欲しいとも望まない 勝手に実ればいいし、勝手にやめればいい 別に実っていう名前をつけたところで 生が実るとは限らない 肚のなかで死ぬこともあるだろう 車に轢かれて死ぬこともあるだろう そもそ…

それよりももっと甘美なるものを

『おお友よ、このような音ではない!我々はもっと心地よい、もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか』 歓喜の歌は否定から始まる。唐突な宣言とともにメロディがはちきれ、全能たる世界が顔を覗かせる。この世界は満ちている。あらゆる力が漲ってくる。…

So なんちゅうは

あいうえお作文

あ あんただけには い 言っておきたいことがある う うちらってな え えらい お おそくに生まれたもんやなあ 生まれたのは正午が回ってから。そのせいか、寝起きがとても悪く、朝に起きだししまうと別世界に飛び出したかのような心地になる。新鮮で不機嫌な…

震えるのだろう 地面は震えるのだろう 人間は震えるのだろう 蛙は震えるのだろう 落ち葉が震えないということなどないのだろう 風がなくだろう 水面は涙の一条で 肌を2つに割く その間に流れる涙は境界線 ゆらぐ境界線 その虹のような不確かなものをきみは…

パ行の誕生

ラジオから不意に流れたメロディが 身体を揺らした。知っている。あの頃のように揺れている。メロディとともに身体が揺れている、かつてのように。音とタンゴを踊る、タッタカタタタ。80パーセントの水分から成る、この身体が音楽と化す。流れる泪は故郷を灯…

エルメスのジャンボチョーカーをここまで野卑にする俺の名前はポポポポポポポランスキー。最近、セルフタイマーで写真を撮る技法を見つけたが、見てほしい。なんてことだ!太陽の下で写真がとりたい!太陽がだいすきだ!ゴールデンウィーク!バルカン半島ま…

生きてるのを彼女のせいにしてる 野垂れ死なぬこと、をいいことに 彼女のせいにしてる 死なないことを彼女のせいにしてる 死ねないと言う 死なないと言う だれかのせいにして生きる 卑怯な生 死はもっぱら原っぱにある穴 この生は どうして生きてきたの 生活…

圧倒的な事実

死んだ また一人死んだ ビルから死んだ 電車で 死んだ この街で 死んだ 死んだ 群れの一人が死んだ 死んだ 死んだ 死んだ 死んだ また一人死んだ 死んだ 死んだ 群れだ 群れが◯した 走りすぎだ 死んだ 死んだ 奴は死んだんだ 奴の顔は知らない 死んだんだ 死…

野を超えるか それは 塊か それは

野を超えるか それは 塊か それは 野を超えるか それは 塊か それは 野を超えるか それは 塊か それは 野を超えるか それは 塊か それは 野を超えるか それは 塊か それは 野を超えるか それは 塊か それは やがて 野を超えるか それは 塊か それは いつの日…

憧れ

憧れ お金があってよかった! 詩集を一冊買う金があって、 ほんとうによかった! 金が払えてよかった! 金という発明があってよかった! お金万歳! 法律以前の犯罪を隠蔽できる マネー万歳! よかった、財布に野口英世が三昧 金がなかったら ああ、ああ、金…

膣る

膣る ぼくらは膣のうえに生きる 膣のうえ、あたたかい子宮へ至るまで 膣のうえで。 膣のうえで殺し合い、慰め合い 子宮へ至るまでの道のり 生まれてこなければよかった そうか、そうなるか、わたしもそう思う 子宮から生み落とされた我々か 歌おう膣のうた、…

蒼い世界

蒼い世界 夜を凌いだ 河川敷 毛糸の靴下 はぐっしょりぬれた 足の汗 月がきえかける 半顔を浮かべて 薄らぐ笑う霊と化した月 生きれた 眠りから覚めた 世界は蒼かった 蒼い世界 蒼い世界 蒼い世界 死んだ木 死んだ草 生きる木 生きる草 のうえに 霜の華 美し…

売春帝国

今日も元気に売春だ 楽しい楽しい売春だ 楽しいから忘れちまうんだ エリートもプアも売春者 売春者のカースト制度 -売春者のくせに 一丁前に- 嘘つきだらけ まだらめ模様のホアだらけ この世界は大売春帝国 売ったら買うんだ 売ったら買うんだ ばかみたいに…

60秒の慰め

60秒の慰め たとえば目覚まし時計が ちょっと気を使って 予定より少し早くだったり 少し遅くだったりアラームを鳴らしてくれれば 世界は衣摺れを起こし 少しずつ崩壊するだろう 時計にチーズを流し込んだダリの願いは時計を狂わせることだった 寸分違いなく…

闘志

意志はいらない闘志 おれは闘志 闘志そのもの 闘いたい 闘わせてくれ俺の病んだ精神 、の上で小休止してる場合じゃないんだ おれは闘志 闘志そのもの 闘志 五厘刈りの野球部が放ったピッチャーフライに宿る日差し ファイヤー急にメラつく メラメラだぜ そう…

爪さん

ストゥレスか不規則が祟って頭が禿げた 根こそぎ爪が髪をもってった ストゥレスだ 不規則だ 頭が禿げた 爪だ 武器だ 動物にとっての 動物にとって闘うためにある、、 凶器だ 狂気だ 狂気が凶器を狂わせたに違いあるまい 爪で考えることをわすれた 垢ばっかり…

この肌色は 未だ擬態を知らない

未だという未来が曖昧模糊ともこもことあの雲のようにと揶揄されようが 未だの安心が空の証左 ほら 未だだ その時は未だだ 未だ知らない 未だだれも知らない おれが見えないのではないか という疑を伏するきみの手 まだ見えぬ顔について まだ続くであろう、…

あの幸せな人間から黄色の花束を奪い 火に焚べたのはぼくです ぼくことイムチョンサです 殺してください ぼくです ぼくの名前を剥ぎ取ってください パードレ マーマレードとパードレの違いはなんでしょうか 目下 真っ赤に照るあのアカい目は月でしょうか 藻…

社会とタンゴ

おれがタップすると怒り出す 社会の歪なリズムにおれはおれなりに合わせて踊る 社会がナイフをさしてくる おれはスパッスパッとかわして金的 おれの脚は空を舞うまるで 土竜の拳が空を泳ぐように そんな奴とタンゴしてるんだ 怒りん坊な真面目で誠意のない奴…

アレ

いじわるな 梅雨が降って クーラーに涼む 夜を 渡って冷えた 冷えた朝がくるまでの あいだ わたしは わたしは 夢へ去る もしまた ひと時 だれかと恋をしても あなたを想い だれかを想い 白昼夢の犯行が功を奏して 網タイツをかぶって強盗に成功する でも そ…

こっちを見るな

ある者は揺れとともに自動販売機を壊した ある者は揺れとともに見ず知らずの女を抱いた ある者はタクシーに乗り込み ある者は悲哀に満ちた目で指示を待つ ある者は泣いた ある者は怒ったと、 ある者の皮膚はひび割れ ある者は瓦礫の下敷き ある者は、、、 余…

暗い塵

塵ひかる 星の如く もしくはフケのように散る いろいろ色々 華々しく汚いおまえのフケが夜を超えるや 甲斐甲斐しい独居老人の読経 爽やかたる朝の清廉を壊して回る 呑み屋がえりのゲロ 清々しい鳩の鳴き声と 愛おしい雀の集会 もしくは 逢瀬 コンクリート 身…

ゆらぎ

誰も聴こえないのをいいことに 雨脚がのっけから音を奪うんだ -音を叩きつける!- 雨は鼓笛隊 幽霊も歌いだす でもだれも気づきやしない 気づかないことをいいことに 奴らも歌ってる 雨は解放する 生も死も劇物 雨のなかで天使と出会う 雨のなかで祝福される…

ベッドタウンの不良たち

やさぐれた人 生活保護受給者 無精髭とフケにまみれた ベッドタウンの不良たち 金髪のモヒカン ぴっちりしたTシャツとデニム はみ出たグッチに彩られた ベッドタウンの不良たち ベッドタウンの不良たち 咆哮しずまる床へ沈む 旧車會のエンジン音が 眠る住宅 …

居心地の悪い六人家族

ここはファミレスだろうか。二脚の長椅子に三人ずつ腰掛けている、奇妙な人たちはおそらく家族か。彼らは順番を待っていた。六人は居心地が悪そうに天井を見つめたり、目をキョロキョロさせたり、口をもごつかせたりして居心地の悪さを噛み砕いている様子だ…

もはや

おれはびっくりする。なぜか。おまえらよ、酢漬けの心臓どもよ。おれはもはや接着剤を持たない。文と文の裂け目に横たわる鈍感なおまんこで吸引力の唯一変わらないことをいいことに幅を効かせるダイソンみたいなもんだ。人の頭に生えているペニスを根こそぎ…