Entries from 2020-06-01 to 1 month

村人A

むかしの話になるけど、富山の立山で働いていたことがあった。標高2000メートルの平原のホテル勤めで、休みの日は市街へ下山する。一泊して始発で山に戻り、ランチタイムに出勤。バスに乗ってロープウェイに乗って、ちんちん電車に乗って3時間くらいかな?市…

散歩

私たちの髪の毛は風にそよぐことができる 私たちの髪の毛は水面に揺らぐことができる 私たちのこの手は捏ねることができる 私たちのこの手は何者をも掴むことができる 離すことができる、わたしたちのこの手は 私たちの身体は川面の蛇のように美しいから 私…

着て帰る

主体は結ぶものなのだろう。バラバラに離切している物事を結んで、歴史を作っていくだけの私。時代も背景もてんで異なるものを編んでいくだけの私。時計じかけのオレンジのワンシーンで主人公のアレックスが、ヴェートーベンを聴きながら、経験したこともな…

ミウッチャプラダとマリネッティ

スピードが好きだ。速いものが好きだ。絵も詩も歌も。マリネッティのスピードが好きだ。未来派のスピードが好きだ。私はただのスピード狂いなのかもしれない。徒歩のときの思考と、自転車に乗っているときの思考は異なる。景色も異なる。自転車に乗ってると…

100年ぶりの世紀末

夜の1時、腹が減ったので表へ出た。ぬるい風が吹いていた。冷たさ、熱気、ぬるさに織られた肌触りに懐かしさを感じた。風に吹かれながら、いつもより少し目線を上げて一軒家の三階、電線に目配せする。電線は規則正しい電柱に連なり、たゆみ、ずっと奥の方へ…