Entries from 2019-01-01 to 1 year

ヨダカの星

原付で中華街の裏路地を転がしていた。パープル、イエロー、どぎついネオンも水溜りに映れば哀愁の塊りだ。おれはそれを真っ二つに車輪で切ってキラキラ光る水を路地裏いっぱいに広げて、花でも咲けばいいのだが!とアスファルトを華麗に突き破って萌える、…

職場

街にあるものはすべて購入できた。 作業服の男がガラガラと移動式のクロークを持ってきた。二枚のうち一枚を選んでくださいとぶすくさ言い放つと、クロークから服を二枚、投げて渡した。わたしはそのうちの一枚を選び分けて部屋に置いた。男はわたしに考える…

仏陀はかく語りき

仏陀がこの時代に生きてたらストロングゼロでアル中になって生活保護で暮らしてると思う。それが悟りである。涅槃像を見てご覧なさい。仏陀は手枕しながら語る。この社会はダメだ、人間もダメだ。おれが説法を説いたところで、集まるのはスピリチュアルのバ…

談笑

髪を切ってもらった。切ってる方と切られてる方が、髪型について爆笑する。「ダサいな〜」と言い合う。おもろい関係だ。スタイルを一緒に作っているような感じがある。とは言えど、ぼくに要望はなく、ひたすらツトムさんがハサミとかを動かしている。 今回は…

ゆらぎ

言葉は揺らいでいる。人間はそれを怖れる。雨が降ると静かになる。会話が止んで雨の音が聞こえる。雨に濡れると必死になる。思考が始まる。誰かに構っている余裕がなくなる。誰も誰かを笑わず、雨に濡れる。目は揺らぎを見る。雨は圧倒的な沈黙を生む。雨に…

落ち着かない。部屋が汚い。物が多すぎる。呼吸ができない。蝕まれている。環境が悪い。作る気にもならない。部屋が狭い。蝕まれている。手を動かしたい。球蹴りをしたい。何かをつくりたい。接着剤がない。モノはたくさんあるのにくっつかない。目に障るか…

火鍋

火鍋を貪っていると幸せな気持ちになる。ご飯がわりにビールをやる。ラム肉のケモノ臭さが口いっぱいに広まって幸福感が高まる。アドレナリンが湧く。ひたすらビールを煽り、ラム肉を頬張る。火鍋は一人一台、自分のために自分で入れた具を、自分で食べる。…

全世界のソロイスト

ソロイスト。私はソロイストである。独りで勝手にファッションをしている。あらゆる歴史をコラージュしていきながら身体に纏う。服を作るのには興味がない。ただこれまでと同じように着られ続ける服に憐みを感じるのだ。 ヴィンテージラバーは年代のスタイル…

君らがやってんのはストリートのコスプレ

君らがやってんのはストリートファッションじゃなくてストリートファッションのコスプレ。ただのコスプレ。真似とかそういう次元じゃなくてただのコスプレ。ヴィンテージラバーのコスプレイヤー、B-boyのコスプレイヤー、パンクスのコスプレイヤー、ユニクロ…

ゲイのトーレス

トーレスから連絡が来た時、わたしはタカさんといた。トーレスは友人の友人でSNSを伝ってDMをくれた。彼が色情狂いだと聞いていたので、楽しげにメッセージをしていると突如ちんこを見せてきた。わたしはタカさんにiPhone4sを託した。 タカさんは英語が堪能…

サービス精神旺盛

サービス精神旺盛のあまり疲れること山の如しだ。ほんとうにサービス精神旺盛だ。関係を持つのが苦手である。初対面は気にならないが、二回目、三回目と会うのが苦痛になる。わたしは常連が嫌いである。おれの顔を覚える必要は皆無だ。だから店にしろ何にし…

宇多田ヒカル

ミラーが映し出す幻を気にしながら いつの間にか速度上げてるのさ どこへ行ってもいいと言われると 半端な願望には標識も全部灰色だ 炎の揺らめき 今宵も夢を描く あなたの筆先 渇いていませんか 青い空が見えぬなら青い傘広げて いいじゃないか キャンバス…

wear

何かしらを巻くといった感覚は希有かもしれない。巻きつける布、その所はスカーフを首に巻くようにステレオタイプと化す。実は服には着ることと巻くことが共にある。wearには着ると巻くが共生している。日本語でいうところの着用がwearにあたる。 被る、履く…

祈り

レイジアゲインストザマシーンが復活するらしい。「さすがレイジ」「待ってたぜ」とかダサいことを言う人が多い一方、それまでのミュージックシーンに怒号を浴びせる人もいる。「今までロックは何をしていたんだ!」 今までロックは何をしていたのか。確かに…

なぜお前たちはたまごを食えと言うのか

貧しい日本を知るご長寿たちは矢鱈とたまごを食わせたがる。挨拶をした二言目には「たまご食べるか?」である。嫌になってくる。たまごは彼らにとっては生命の源、栄養の水面とであるらしい。風邪をひいてるときもやっぱりたまごを勧めてくる。 歳が幾らにも…

わたしは本町に踊りでた

わたしは本町に踊りでた。昼休憩中のOLたちに囲まれながら、タンクトップ一枚で先日、東くんから貰ったたぐいを読んでいる。喫茶店には四名客、二名客が二組ずついる。それとカウンターに座っているおっさんが一名と四名席に鎮座するタンクトップの男、つま…

異常だけど同情しない

ニュージーランドへワーホリ行ったときに、ヒッチハイクと野営が日常的でローカルの子供達が小銭持ってきてくれるくらいやばかったんですが、最近色々と思い出すことがありました。ニュージーランドって実はギャングの国で誤ってギャングの車ヒッチハイクし…

イギリス人はやさしくない

ebayでイギリス人からモノを買うことが多い。住所を複数登録しているからたまに別のアドレスを間違えて送ってしまうことがある。購入してしまうと、オフィシャルでは住所変更が出来ないので、出品者とコンタクトを取って、こっちのアドレスに送ってくれと連…

書くことがない

自分の言葉に力がなくなってきたなと思う。書けることと言えば、社会への恨みと思い出話だけだ。ジョーブログに「おまえは楽しいことしてないから、昔のことをよく憶えてんねん。おれはそんなん全然憶えてないぞ」と言われたことがある。一理ある。昔の記憶…

リメンバーパールハーバー

つち式の編集会議は夜の膨らみとともに始まった。どういう風に顔を突き合わせて、どんな言葉を交わしたのか記憶はないし、何が口火をきってそうなったのかは分からないが、いつの間にか空間がむくっと立ち上がり、自然と会話が生まれていった。ほんとうに何…

改めまして時計じかけのオレンジ

映画は一度観れば、二度と観ないことがほとんどだろう。ロードショーで何度もやるような映画ならともかく、自発的に何度も観るような映画はそうそうない。 『時計じかけのオレンジ』ぼくにとってはこの映画がそれにあたる。何度観たかは憶えていないが、かな…

限界値

何故こうもアングラなのだろうと考える。髪の毛をセットしないし、風呂も入らないから自然とそうなるのだろう。自分にはある種のスタイルが身についている。インスタグラムの集積を遡ると自分の最大公約数が見えてくる。ああ、こりゃあダメだと思った。ぼく…

私はなにを零してきただろうか。誰かが零したものを拾うような活動。それでも、零さんばかりの情報が脳裏を過ぎる。私も零しただろうか、私は零し続けているのだろうか。零したことにすら気づかず、名前すら知らないものたちを土足で踏み続ける私が人間様だ…

髪の毛と時間

国道に合流する小道でカーブミラーに写った自分の姿を見た。髪が随分と伸び散らかっていた。年の割に艶の残る毛束をいじる。この髪の毛には、おれの二ヶ月が詰まっている。おれが食ったもの、飲んだもの。浴びた光やタバコの煙、寝汗やシャワーも全部、おれ…

他人のエッセイ

エッセイはいい。易しい。アイススケートくらい平坦に滑れて急に穴が空いたりしないし。というか、穴が空くことも前提なので、そもそもの自由度が高くて適当で伸び伸びしていて好きだ。イッセイミヤケに惹かれるのも語感がエッセイに似てるからだろう。知ら…

『ガルルルルルルル』アイドリングする軽トラの向こう側で噴水の爽やかな音がする。水の音、固く閉めた蛇口から漏れる流石を聞いていると気が狂いそうになる。わたしはもっと固く蛇口を閉め上げる。音に敏感だ。この街は好きにはなれない。故郷ほど醜いもの…

砂の女

都会に住んでいる。東京に比べれば、とんと人も街も少ないが。都会で生きる術、都会と自分を結ぶ縁としてファッションを据えていた。それが昨日に断たれた。その契機となったのは、映画 砂の女だった。 人間は環境に見合った欲望を見出す。都会で出来ること…

嘘か本当かどちらでも差し支えない。映画の登場人物が死ぬば、お前は劇だと分かっている筈だが、泣いたり怒ったりするのだ。つまり彼が本当のことを言おうが、嘘をつこうが迫真めいてさえいれば、お前は感情の渦に飲まれる。ただお前は渦に飲まれればいい。…

聖なるかな

雨に降られて彼らは死んだ 蝉が転がる梅雨の頃に降ったのは さざれのような石だった 私たちに遺された跡は かなしかった 顔が雨に晒されるごとに わたしたちは冷たくなった 電車はうごかない 私たちの身体は 街へ放り投げられた 硬くなった 至る所でカーンカ…

祈り 無力なきみは祈ればいい わたしについて祈ればいい 祈ることしか わたしたち 祈ることだけが 我々の 祈りだけが 我々か 無力なきみは祈ればいい わたしについて祈ればいい 祈ることだけが きみとわたしか 祈ることしか わたしときみは 祈ることしか 祈…