嘘か本当かどちらでも差し支えない。映画の登場人物が死ぬば、お前は劇だと分かっている筈だが、泣いたり怒ったりするのだ。つまり彼が本当のことを言おうが、嘘をつこうが迫真めいてさえいれば、お前は感情の渦に飲まれる。ただお前は渦に飲まれればいい。それがリアルだ。お前は彼にはなれない。彼はお前にはなれない。だから我々は疼いてる。渦は大きくなる。人間を漁業のように巻き込み、ゴッホの筆跡のように髪の毛をわし掴む。祭りの始まり。個が溶け、現実は影になる。我々は全体の不確かな一つの生き物、意識なく四次元を彷徨う。私たちは食われることを望んでいる。