聖なるかな

雨に降られて彼らは死んだ

蝉が転がる梅雨の頃に降ったのは

さざれのような石だった

私たちに遺された跡は かなしかった

顔が雨に晒されるごとに

わたしたちは冷たくなった

電車はうごかない 私たちの身体は

街へ放り投げられた 硬くなった

至る所でカーンカンと鳴った

肩から崩れる人をみた バラバラになった腕を眺める人がいた

家に帰りたがったひとたちは家を失っていた はじめからないものだったが

頭を掻いたら、アスベスト

二階よりも低いところ、地下鉄と国道の隙間で宙づりになった私たちをわたしはみた

聖なるかな、わたしたちは

聖なるかな、我々は

わたしたちは 聖なるかな 我々は

聖なるかな、わたしたちは

聖なるかな、わたしたちは

カーンカン カーンカン

聖なるかな、我々は

聖なるかな、わたしたちは

得てして 聖なるかな?我々の声は

わたしたちは石になった

劣化した感情のまま

雷が直撃するくらいの確率で

わたしたちは死ぬことができる

勇み踊れ 石雨よ もっとわたしたちに

顔の輪郭を教えよ