『ガルルルルルルル』アイドリングする軽トラの向こう側で噴水の爽やかな音がする。水の音、固く閉めた蛇口から漏れる流石を聞いていると気が狂いそうになる。わたしはもっと固く蛇口を閉め上げる。音に敏感だ。この街は好きにはなれない。故郷ほど醜いものはないように思う瞬間があるらしい。この街が嫌いだ。故郷ではない。

腐っている。立っているだけで腐乱する道徳。外道にも程がある。腐った連中だ。どうでもよい、話さない限り。声が聞こえる。人間の、若い。音が聞こえる、人間の。人間しかいないのではないかと思える。電車は無人で走って富士山へ突き刺され。駅は泉になれ。

頭痛がする。鈍くて遅い。音が聞こえる。障る。つまらないにも増して偏頭痛持ちとは思いやられる。夜ご飯を待ち焦がれている。腹がもうすぐ鳴る。多分、爆音で周りの奴らは散り散りになる。秋の始まりだ。通天閣から放射線状に広がる無数の旗を蛸でも捕るようにすっぱ抜きたい。おれの細胞はアホしかいてない。