可能態

作者の意図とは裏腹にそう読むことも可能であることを可能態と呼んでいる。たとえば、ジブリの都市伝説なんかも作品の可能態だと考えている。

作品は作者のものではないし、そうでもある。作品は公である。公を占領することはできないが、作者は王である。作品は空座の王によって生み出されるが、王はその可能態を否定することはできない。なぜか、人間はべつの人間の視点を踏みにじれないからだ。批評とは作品の可能態のなかに眠るひとつの正しさを導くものである。人間はこの批評のもと作品を生み、作品にべつの可能態を孕ませる。作品が生まれたとき、それを知らされたとき、それら二つは平行になる。公に登録される。

公衆は一つの化け物である。そこから解離する様を人間とよび、公衆は人間の可能態である。