全世界のソロイスト

ソロイスト。私はソロイストである。独りで勝手にファッションをしている。あらゆる歴史をコラージュしていきながら身体に纏う。服を作るのには興味がない。ただこれまでと同じように着られ続ける服に憐みを感じるのだ。

ヴィンテージラバーは年代のスタイルを守ろうとする。そして、現代の服のヤワさをニヒルじみた鼻で笑う。私は可哀想な奴だなとそいつを見て笑うのである。そいつは別にいい。そいつの着てる服が可哀想である。服は常に新しい可能性に満ちている。その可能性をステレオタイプで縛り続けるような人間が服が好きだと言えるのか。ヴィンテージラバーだけじゃない。ストリートファッションと言いながらストリートファッションのコスプレを続けるような人間にも呆れる。ストリートは何もスケートやラッパーのようにプレイヤー人口が増え過ぎたカルチャーだけじゃない。全てのストリートから生まれファッションのことである。

フェイクかリアルかなんてものはこの際、コスプレイヤーには関係がないのである。その問い自体がコスプレを前提としているのであれば、もはやその言動自体コスプレである。

わたしはフェイクをリアルへと連れてくる本来のコスプレイヤーは好きだ。それじゃなくて、ファッションのコスプレイヤーの話をしている。全然ファッションしていない。ファッションはソロイストだ。だから私はソロイストの宮下からソロイストを取り戻したい。