ナンブーワ

超絶思考都市大大阪シティは空前絶後の移民増加によりメガロ大阪コスモポリタンと呼称されるほどにあらゆる言語、習慣が文化レベルで摩擦を起こし新たな地層が生まれ始めていた。ことの発端はコンビニで働くベトナム移民の女性が釣銭を渡す際に、掌にポタポタ落下させて渡したことが始まりだった。現地のネイティブはそれを侮辱と受け、事の顛末をGoogleの口コミに投下した。平均2.7だったレビューがたった3日の内に平均1.3まで落ちるや否や、当のコンビニオーナーが女性を解雇処分。解雇処分後、ネットニュース、ワイドショーなどが一気に取り上げ拡散した。多くのワイドショーは「日本での作法をしっかり教育すべきだった」といった結論で締め括られ、SNSでもそのような論調が主だったが、あくまでそれは日本語圏のみで通用する物語だった。あくる日、トレンド入りしたハッシュタグ全てがベトナム語になっており、誰しもがiPhoneの言語設定を見直した。ネイティブは理解不能な言語を前に萎縮し始め、Googleで調べればすぐに分かることながら、陰謀論めいた謎の読解文書がツイートにてリツイート数を稼ぎ始めた。ベトナム人たち含め、外国人労働者たちが一斉にストライキに入り、あらゆる工場、あらゆる接客業はたちまち営業停止に追いやられた。あるワイドショーのコメンテーターが「日本人と労働の価値観が違うんですよね」とコメントするなどストライキ自体が社会的な責任を負っていないという発言をするとまたSNSはさらに炎上。こうして超絶思考都市大大阪シティはメガロコスモ大阪コスモポリタンへ変容し、難波はナンブーワへ地名変更。このナンブーワこそ、地層確変地帯となり