けいかく

苦しみを感じるから麻痺はしていない。18時37分。飯を食らうとあらぬことを考える。腹が空いているかも分からない。ゲップが少し、お腹の鳴る音がする。お腹を触ればハリがない、柔らかい脂肪がうっすら乗っている。この脂肪が空腹を紛らわせているのかもしれない。飯を見ると美味そうに感じる。美味そうだからと言って腹が減ってる訳ではない。夜と朝とを抜いて何となく腹が減ったような気がしてコンビニのトンカツ定食をたべる。べらぼうに美味い。幸せに感じる。夜は珍しくビッグマックを食べた。べらぼうに美味い。幸せを感じる。朝、起きると身体が重い。朝飯を食べる、歩きながら。昼飯を食べる、サラダベースに。深く気が沈んで会話する気が起きない。

朝、出勤してからのことだった。仕事場に着いて色々考え始める。真正面から自分と向き合う、答えが色々と分かれてくる。仕事をやめる、やめてからその先のことを考えると、どうしようもない、やりきれない、派遣の日々だったり、金がじりじりと減っていく苦痛だったり、色々考えながら、キキちゃんとこのまま付き合い続けてもいいのだろうかと思ったりした。キキちゃんを失うことは本当に辛いし、彼女が心配でたまらない。犬のような愛情を棄てなければ自分は、悲しまないと、喪失しないと清々しくはなれないのかと思った。でも、よくよく考えれば仕事である。キキちゃんには常日頃から自分はどういう風に気が変わるかわからないし、他人は他人であると言い続けてきた。ただ、キキちゃんは他人から犬へと変わりつつあり、自分が愛おしいと思える対象の一つとなった。彼女は無償の愛の人だ。そんな彼女と別れるべきか否かということが、仕事をやめるか否かでの苦悶の先に浮かんだものだから、悔しくて仕事中に泣いた。なんて情けない個体なんだろう。

この文章から3時間経って腹の具合がどうも良くなってきた。仕事の休憩残り10分を切ったところで、思い立って文章を書いた。今は仕事の帰り。歩きながら文章を書いている。腹の状態、少し張りがあるが、悪くない。

日頃の自分であれば、これを空腹だと捉え、飯を人の2倍食らう。恐らく、この状態、悪くない腹の状態は一般的には平常であり、空腹とは呼ばないかもしれない。つまりは過食ぎみになっていた。常に満ちていたいし、やりたくないことはやらない。やりたくないことをやってるんだから、そこは落とし前つけてもらわんと、という思いで我慢するのをやめた。仕事の反動形成だ。しかし一体誰に落とし前をつけさせるのか。すべて自分の身体に跳ね返っている。ファッションも、過食も。結果として仕事と同じように自分を壊しにかかっていたのだから申し訳ない。一方的に虐げられて悲鳴しか上げていない身体、息絶え絶えの生物に希望を聞くことほど頭のおかしい話はない。それを実際にやっていたのだから、本当に頭がおかしいのだろう、自分は。まずは首根っこに差し込んだ手を離していかないといけない。仕事をやめる問題は自分にとって相当根深いから段階を踏んでいかないと最悪死ぬ。人生で初めて計画を立てる。

前提として、苦しみたくない、死にたくない。だから、先のことは考えず、楽しく課題を達成していくこと。

①過剰に服を着ない

②服を整理する

③腹が減るまで飯は食わない

④虫歯を治したい

⑤髪を切りたい

⑥分解の哲学を読む

これが今月の目標や、それ以上は何もない。何もないし、何もしないから安心してくれ。今がないと未来などはないんだ。最低のシナリオに苦しむのはやめよう、それは多分、妄想でしかない。仮に君がそのような現実を生きてきたとしても、今、君が描いている未来は想像でしかない。想像でしかないことを、それしか有り得ないと思ってしまうこと、それで死のうと思うことは完全に誤作動だ。誤作動なはずなんだ。誤作動かどうかはこれからゆっくり確かめていこう。嘆いてもいい、どうか生きてこの状態に帰ってきてくれ。でも、どうか嘆くのも想像するのもやめてしまおう。腹が減ったら飯を食う、服もしっかり選んで買う。もし、君が飯をバカ食いしてしまって、過剰に服を買ってしまったら、それも許してあげてほしい。腹が減ればここに戻ってこられる。狂いながらも少しは正気を保てる。君を落ち着かせることができる。仕事中に怒りで顔が歪んでも、震えるくらい人と喋れなくなっても、それでも仕事を辞めれないお前は何一つ悪くない。あれだけ哲学書を読んで、身体論を叩き込まれても全然分かってなかったわけじゃない。全部、覚えてるから。だから今、身体がおかしいってことに気づけてる。食うてもよ、お腹は減るんだ。ゆっくり恢復していこうぜ