本を読んでいてもやはり間に何かをしている。もっぱら集中しているとき、電車の中では特段すんなりとりして落ち着いてはいるが、やはり家にいるときはスルメを摘んだり、身体を掻いたり、タバコを吸ったり、気になるモノが頭に浮かんで調べていたり、風呂に入るかどうかすら腹を括りかね、本を読み、感動したフレーズで一度本を閉じ、少しの感慨にふけり、この人は素晴らしいと思うやいなや、またタバコを吸っては身体を掻き、歩き回って姿見に映った自分の顔を眺めて目が死んでいないか、髪型はおかしくないか確認する。現在の髭の伸び具合、最期に剃ったのはいつだったかなどと考えていると夜も朝飯のように過ぎる。これはもう自分の性質のようなものだ。じっとしていても全くじっとしておらず、思いを馳せども長続きしない。結局こうして文章を書いてみて、やっと風呂へ入ろうかと腹を括り始める。その傍からオロパタジンを飲んだか気になる。何錠か既に飲んでいる気はする。おれ、クスリのんでたったけ?飲んでたような素振りはあった、もしくは飲んでたかな?私は見かけてないけどとキキちゃんは答える。服用したかしていないか、殆ど覚えてないので毎日、何錠も飲んでいる気がする。過去と未来も混濁するので飲んだ気になっていることもある。余裕で生活に支障をきたしているが、今はそれほど問題ではないが、たまに大きな問題になることもある。単純に運がいいのだろう。家賃を払った気がして払っていなかった今月、催促の電話とも知らず明るく電話をとり、しのごの丁寧に言われてこちらも心当たりが全くないから語気を強める。ただ確かめる術をそのときは持ち合わせてなかったので直ぐに金を振り込んだ。後でやるというのは心に障る。できることなら何でも早く済ませてボケっとしておきたい。だからこそすぐに振り込む必要があった。管理会社側にも信用のおけないところが多々ある。邪推を浮かべてゴールデンウィークに金を使い過ぎた管理会社の者が私をカモにしてるかもしれないと思いリダイヤルする。「今、振り込みました。平日に振り込まれると思います。手元に通帳がないので、記帳できないのですが、今週記帳する予定なので重複あればご連絡致します」私は凛と言い放ちながら、腹を差し出しているような気がした。この間抜けがと罵った。