兄ちゃん

私は親のおかげで無修正の洋モノを沢山持っていたので友達に回していた。無修正のビデオを持ってるってだけでヤバいのに洋モノだったので尚更やばかった。学年にはもう一人、無修正を持っている同級生がいた。兄ちゃんと呼ばれていた。小学生なのに漢字の知識があって文字が達筆だった。よく『鬱』って漢字を黒板に書いていた。

ある国語の授業を境に兄ちゃんは能力を発揮し始め、それ以来、誰が呼び始めたか、先生も彼を兄ちゃんと呼ぶようになった。中学生に上がった頃、隣の小学校出身のマセた同級生たちのおかげで下ネタが日常会話に混ざり始めていた。今まで、エロの片鱗さえ見せなかった兄ちゃんもエロい話を始めるようになっていた。

「おれこの前、無修正見てんけどさ、すごいな、あれ」メガネの奥に恍惚と先輩風を灯しながら兄ちゃんは滔々と語り始めた。

「ちんこ入れるやんか?ちんこ入れた後に隙間から指入れてちんこシコってた。それがほんまのセックスみたいやわ、おれもびっくりした」

わたしもすげえと思った。セックスというのは難しいなあと思った。サイズ的におれはセックスできないかもしれないな。と思ったし、中学生はみんなセックスできないんじゃないかと考えた。でも、一個上のある先輩はアナルセックスをしたことがあると噂が広まっていた。どんだけちんこがデカいのだろう。友人と何度も話した。

ある日の放課後、友人が教室に走ってきて「やばい!兄ちゃんのちんこばりデカい。ちょ、見に来て!物差し持ってきて!」と大声で叫んできた。わたしは人のちんこに興味があったから急いで立ち上がりトイレへ向かった。何人かが着いてこようとしたので、友人が「お前らはついてくんなや!殺すぞ」といきっていた。

兄ちゃんはニヤニヤしていた。周りには何人か友人がいた。友人もニヤニヤしていた。兄ちゃんのちんちんは聡明なエリンギみたいだった。「これ勃つん?」「勃ったらもっとでかなるん?」「1.5倍くらいにはなるんちゃうかなあ」と兄ちゃんは答えた。「じゃあ、勃たせてや!」「いやあ、今は勃たんかなあ」「なんでなん?エロ本あったら勃つ?」「エロ本あったら勃つと思うでえ?」わたしは走り出した。何かないかと教室に駆け込んでカバンをひっくり返す。でも、何もない。だから国語の教科書を持っていった。兄ちゃんに渡すと「国語の教科書なんかで勃つわけないやりょっ!」とブチ切れられた。兄ちゃんもキレるのである。兄ちゃんがあんなにキレてるところは初めて見た。きょとんとしていると、みんな爆笑しはじめた。代わりにトイレットペーパーの芯を渡すと兄ちゃんは疲れたようにパンツを上げてトイレから出てしまった。兄ちゃんの兄ちゃんは兄ちゃんだった。サイズも知識も兄ちゃん。でも、兄ちゃんは兄ちゃんのくせに学校の成績が悪かった。兄ちゃんがどこの高校へ行ったのかも分からない。