想像できる

想像できる。例えば、お前がこの世のものとは思えないくらい頭のおかしい格好をしてみろと言われてそのオーダーをこなしたとする。でも、想像できる。どういうパターンになるか、どういった雰囲気になるか。お前はこの世の澱を集めたような無様でおもしろく…

想像できる

想像できる。例えば、お前がこの世のものとは思えないくらい頭のおかしい格好をしてみろと言われてそのオーダーをこなしたとする。でも、想像できる。どういうパターンになるか、どういった雰囲気になるか。お前はこの世の澱を集めたような無様でおもしろく…

DAY1 IN TOKYO

新陳代謝が著しいこの街で不健全な妄想をするのはいかがなものか。私は6時間の乗車時間、新幹線の遅延の果てに品川駅へ降り立ち、新宿か、渋谷へ行くとそこから突然歩き始め、青山へ向かった。青山というところはまとめサイトみたいな場所だ。店は閉店、ショ…

ドタマかちわったろかい

おれの親父は偶数を奇数で割ろうとした。愚かだと罵ってはならない。私は許さない、偶数を許さない。奇数しか認めない。奇数以外を認めることはできないだろう。なぜなら私のエンジェルナンバーは33であり、8月生まれだが5日生まれであることに誇りを持って…

月みたいな顔しやがって

「おい!月みたいな顔しやがって、クレーター増やすぞコラ」と言って友人はアバタだらけの友人に飛び蹴りをした。履いていたスニーカーはエアフォース1の白。キックは見事顔面に命中し、ガードレールへよろける。その後に腹に一発入れると「おい、月、二度と…

ナンブーワ

超絶思考都市大大阪シティは空前絶後の移民増加によりメガロ大阪コスモポリタンと呼称されるほどにあらゆる言語、習慣が文化レベルで摩擦を起こし新たな地層が生まれ始めていた。ことの発端はコンビニで働くベトナム移民の女性が釣銭を渡す際に、掌にポタポ…

パンジーピープル

愛玩用、観賞用、煮ても食えず何も救えない、植えない方がもはやマシである園芸植物の代表格にパンジーがいる。観賞用というよりも、アレを植える心境に一種の強迫観念が見え隠れする。例えば、老舗の旅館だったり古くからあるレストラン、ホテル、何でもい…

動物たち

猫の小鉄。昔、猫が家におった。小鉄はまじで喧嘩がつよく、おれは飼ってたロットワイラーのジャムとよく喧嘩させようとした。でも、ジャムも小鉄も根は優しいので喧嘩はしなかった。小鉄は2階のベランダから何度も飛び降りて夜中に鳴いて戻ってくる。軒と軒…

3人の夫

フルーツチャンの3人の夫を見た。ヒロインのムイは香港の無垢な象徴を表しているのだろう。ヒロインの3人の夫は低所得者と水上生活者。ムイは異常な性欲(病気)の持ち主で欲望を達さなけれなば発作を起こす。彼らだけではムイの過剰な性欲を諌めることはでき…

健康診断

鎖骨まで開いた診察用の上衣に袖を通す。採血中、話をされてもこちらは腕を見まいと目を逸らしているのだから何を言ってるのか分からず、テキトーに相槌を打つ。133番、検体番号が記載された紙のリストバンド。診療医は白衣にピンクのカットソーを着用してい…

昨日は土曜日、セレクトショップへ行った。あんまりおもしろくなかった。ビックカメラへ行った。とてもおもしろかった。テレビは4Kから8Kへ進化していた。画面から音出るテレビがあった。触ると手が震えてすごいなと思ったけど、そのあとズボンで手を拭いた…

ファッションのリアリティ

服を着て終わる。これが殆どの街の人間の在り方かもしれない。どんだけ着飾っても街を歩いて終わる。スタイリングをした段階で終わりを迎える。一日の始まりから終わり。そういった日々に物悲しさを感じたことがないか?おれは大いにある。むしろ、それが積…

還る

おまえは土になれ、蝉がアスファルトで転がることほど虚しいことはない。アスファルトは年中清められているのだから。そこには土壌がない。清掃あるのみ、そこで腐ることはない、乾くだけ。腐っても、乾くだけ。何者にもなれない。死骸は食われるべきだ。お…

羽虫を殺す

頭を掻いては帽子を被り、脱いでは頭を掻いて帽子を被る。その動作に嫌気がさして、帽子を被ったまま隙間に指を入れて掻いてみる。帽子がズレる。帽子を被りなおす。帽子がズレると視界にツバが入ってきたり、頭のフィーリングも落ち着かない。だからまた被…

宿命

「なんも食べてない」ギリギリ聴こえるような声でおっさんが囀っている。アメ村の三角公園でだらだら煙草を吸っていた。「全財産30円しかない、お兄ちゃん、おにぎり一個、小さいのでええから食べたいねん、だから100円でもなんぼでもええからくれへんか?」…

観念は迫真に劣る

ダンサーは可動域へ闘争をしかける。想像、科学は背伸びする。その身の丈は足の裏の大きさを超え出でる。頭は雲を貫く。想像力と身体。身体の伴わないダンスはダンスではない。身の丈以上のモノがその身体から生まれることはない。それを忘れることは愚かし…

射精する棍棒

第一回棍棒合宿が終わって2週間が経とうとしている。ナタを振り下ろし、サンダをかけるだけの合宿。枝に持ちやすい柄を作って殴打するためだけの棒を作る。2時間くらい力一杯ナタを振り下ろし、1時間くらいサンダで均すだけ、それだけで道具ができる。実際、…

悦びのナタ

硬い木、腕よりも硬い、ナタを握って振り下ろす。殴る。殴って殴って殴りまくって腕よりも太い楕円を掌で握れるほど細く円を作る。おれの素手は脆く、薄皮が剥がれる。それに気づくのは手のひらをまじまじ見つめたとき。ただ垂直にナタを下ろす、木を回す、…

祈り

「頼む。そうし、起きてくれ。頼む、起きてくれ」 夢の膜が張られた鼓膜越しにすがるような声が聞こえてくる。茫然としていた意識に血が通い始める。神に祈るような声色だった。どうやら、私は飲み潰れていたらしい。意識を取り戻して初めに見た光景は知人の…

あぶれる

あの時代のことが話したくなった、日韓W杯の時代の。当時、小学四年生。ちょうどサッカーを始めた年だった。小泉さんが韓国と共同でW杯を開催すると言うたとき、生野区がどよめいた。夕方のニュースにコリアンタウンで店やってるおばちゃんがマイクあてがわ…

展示に向けての整理運動

私にとって服は咲いているのかもしれない。数ある服の中で一際、焦点が合う服、これを咲いていると言ってもいい。今まで名前も背景も知らなかったことが嘘のように、その服のそれを知ることで知覚が急激に膨らみ始め、風景が立体的になる。これは、雑草と呼…

知らない間に何かが生えて、知らない間に何かが絶えた

9ヶ月前 9ヶ月後 何かが生えていたらしい。初めの一週間は、ちらちらと観察はしたが、一向に萌も見えず、そのうち靴に土を盛ったことなど忘れていた。ふとしたことで思い出し、夜中ベランダへ走った。もしかすると捨てかもしれない。室外機の上にあった。9ヶ…

立春の瓜破霊園

立春、思い立って母親の墓場に参る。またまだ冷えるが、心なしか冬の底を超えたような心地がする。師走を跨ぐと正月、正月は真冬だ。で、今、立春。なんとなく春の予感がする。正月から春を待つ間、その数ヶ月、年が明けてもまだ陽気さのない期間の、茫漠な…

できない

展覧会の日程が決まった。殆どのことが一人でできない。前々から気づいてはいたが、まじで何も出来ない。現実に対して出来るアプローチが少ない。いや、ほぼ皆無に等しい。本当に無能である。物理的にできない。そして、何より頼むということが、とても難し…

けいかく

苦しみを感じるから麻痺はしていない。18時37分。飯を食らうとあらぬことを考える。腹が空いているかも分からない。ゲップが少し、お腹の鳴る音がする。お腹を触ればハリがない、柔らかい脂肪がうっすら乗っている。この脂肪が空腹を紛らわせているのかもし…

選ぶということの、この上ない不条理の中でただ沈黙し服そのものを見つめること

2021年、明けました。モノをしっかり見れているか。しっかり見ているか。見ることに慣れてはいないか。本当にものを見ているんだろうか。オーラばっかり見てるんじゃないか。服そのものを見ているんだろうか。 見る。観る。診る。視る。 服を見ながら私は何…

殺したいと願う

殺したいと願う。老若男女問わず、不快な奴は殺したいと思う。強く思う。強く思うが、殺せない。捕まるからだ。捕まるとタバコが吸えないし、散歩ができない。集団生活を強いられる。地獄だ。 地獄を見せてやりたいと願う。老若男女問わず、不快な奴に地獄を…

何もかも燃えてしまったあとに

家が火事になったり、台風が来て部屋が飛ばされたりすれば、私はどの服を選んで逃げるのだろう。地震がきて部屋もろとも潰れるなら、何を選んで逃げるのだろう。 昔はよく考えた。もし家がなくなったら、自分は何を持っていくのだろう。昔は何もいらなかった…

作ろうとしてる内は何も出まい

作ろうとしてる内は何も出まい。前のめりに足がつかつか出るだけだ。柔らかさ、肩甲骨の関節が外れて空へ飛んでいくような安らぎ。作ろうとせずとも作る身体はいつも解れている。身体が凝ると心が尖る。凪でないと船は出ない。シケはパンクスのためにある。…

死せる魂よ想像せよ

中野ブロードウェイ2階。その階の整体。受付から血行の良さそうな肌の中国人女性が手招きしている。優しい声色。一度は通り過ぎて隙間を探す。喫煙するためのスペース。わずかな隙間で良い。ビルの隙間であれなんであれ、メインストリートから編み目のように…